快晴のゴールデンウイーク。
気持ち良いお天気が続いていますね。
さて、私が普段よく使っている言葉『土味』。
結構便利な言葉なのでよく使いますが、
土味って???とお客様から聞かれることが多いんですよね。
今日は私なりに考えている土味について記事にしてたいと思います。
備前焼に使われる土は岡山県備前市伊部地域を中心に、その周辺で採取されます。
採れる場所は様々で、田土と呼ばれる田んぼの下から山土と呼ばれる山の中まで、
また西は長船から東は三石まで、地域によっていろいろな土が採れます。
一口に備前焼の土と言っても、色合いや成分などかなりの違いがあります。
普段私が使っている言葉『土味』とは、土を焼くことで現れる表情や触感、模様など。
先程、備前ではいろいろな場所で土が採れると書きましたが、
備前の土は焼くことでいろんな土の景色を見せてくれるんです。
例えば、
砂が混じっていたり、石が混じっていたりすることで見た目にも違いが出ます。
粒子の細かい土ばかりでしたら均一な表面に仕上がりますし、
砂や小石が混じった荒い土でしたらザラついた表面に仕上がります。
また、その土をどうやって形成するかによっても表面の仕上がり具合は変わってきます。
たたき技法でしたら土の動きはあまりありませんが、ロクロ挽きでしたら横に流れるような螺旋の土の動きが生まれます。
面を取ると石が動いて線になったり、
ヘラ目を入れると部分的に土に動きが生まれたり、
紐造りなら指の跡や指紋が表面に残ったり。
とにかく、採取場所や形成方法に応じて無限に土の表情が作れるわけです。
それを焼き締める事で、
表面が溶けだしてガラス化したり、
土が収縮して石が表面に出てきたり、
甘く焼き締まって柔らかい触感になったり、
窯で焼き締めることで、隠れていた表情が浮き出てくることがあります。
ここまで読んでみて、
それで結局、良い土味とは、なに?って思いますよね。
私が普段説明文に使う『良い土味』とは、
簡単に言えば土の個性が活かされているって思えるもの。
例えば、(すみません、例えばかりで・・)
お肉でもいろんな部位がありますよね。
ヒレからロース、ハラミにスジやホルモンなど、
全部同じ調理方法だと、それは素材を活かしていませんよね。
焼いただけで十分美味しい肉とか、
煮込めばとろける肉とか、
カレーにはこの肉とか、
ステーキにはこの肉とか。
肉を土に置き換えると分かりやすいと思うんですよね。
料理人(作家)が素材(土)を、どう料理するのか。
出来上がった料理(備前焼)は素材が活かされているのか。
その部分を見ながら、私は『良い土味』っていう言葉を使っています。
例え、一般的に屑土と言われているものでも、腕次第で心を動かせる作品を作ることは可能だと思います。
普段、私が良い土味って言っているものは、
今までいっぱい備前焼を見てきた中で、土が生かされているなって感じたものです。
備前焼の最大の魅力は土味にあり。
景色より先に土味に目がいくようになったら、
より備前焼の魅力を楽しむことができると思っています。
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