備前焼について

備前焼は平安時代のころから現代まで釉薬をいっさい使わず、焼き締めだけで続いている世界的にも非常にめずらしいやきものです。
土と炎だけでつくる備前焼は、約1000年の伝統の中でその魅力と実用性をずっと維持してきました。
備前焼の最大の魅力は素朴な土味で、使うほとに味わい深く変化します。
また、昔から『備前の水がめ、水が腐らん』・『備前すり鉢、投げてもわれぬ』など備前焼の実用性をうたった言葉が数多く残されています。
実際に備前焼の花入れにいれた花は水が腐らず、とても長持ちいたします。

備前焼ができるまで

1)土づくり
備前焼に使われる土には、田んぼの下から取れる田土・山から取れる山土、備前市の隣、長船町で取れる黒土などがあります。
使用用途により、混合して使用されています。混合比は作家さんごとに違います。土を当分の間、寝かせるとねっとりとしたいい粘土になるようです。

2)形成
形成は一般的に電動轆轤を使います。昔ながらの蹴轆轤や手轆轤、手捻りにこだわる作家さんも中にはいらっしゃいます。
轆轤で形をつくり、少し乾燥させへらで仕上げます。細工物などは型抜きが一般的ですが、最初からすべて手作りで行う作家さんもいらっしゃいます。

3)乾燥
形成された作品は、棚に保管し自然乾燥されます。冬は夜に凍らせないよう、照明やストーブを夜通しつけておいたりします。

4)窯詰め
窯詰めは、備前焼には重要な工程となります。窯詰めのよしあしで、作品の焼け具合が大きく左右します。
大きさの違う作品を、計算し窯詰めを行うことで炎の流れをつくり変化のある良い焼け肌が取れます。現在は良い焼け肌をある程度狙ってとることが出来ます。

5)窯焚き
備前焼の窯焚きは、松の割木で行われます。窯焚きは1週間から10日ぐらいかけてじっくりと行われ、最初は小量の薪で、少しづつ温度を上げていきます。
最終的には多量の薪を窯に投入し、1250度くらいまで温度をあげます。
焚き終わりは、焚き口から煙突の方にかけて徐々に薪を入れて蓋をしていき最後に焚き口がすべてふさがれ、窯焚きが終了します。

6)窯出し
窯焚きが終わった窯は、そのまま自然に温度が下がるのを待ちます。
備前焼は急激な温度変化に弱く、急冷すると作品に傷がついてしまいます。4・5日ほどで窯内の温度も下がり、作品の窯出しを行います。
まだ、作品には灰などが付着しているので、たわしややすりなどできれいに水洗いされます。
備前焼の焼け肌の種類

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