糸胡麻

糸胡麻

 

毎日冷え込みが厳しい岡山です。

 

さて、今日は久しぶりに備前焼のことについて少し。

 

多久さんのマグカップでみられる糸胡麻に景色について。

 

画像のように胡麻が糸状になったものを「糸胡麻ーいとごまー」と呼びます。

あまり見かける機会が少ない備前焼の景色ですので、

今回は簡単に説明できたらと思います。

 

説明を受けると味わい深く貴重な景色だとわかっていただけると思いますので

ぜひ最後までご覧くださいませ。

 

糸胡麻は稲わらを巻いて焼成した作品にみられる、稲わらに沿ってついた胡麻の景色です。

 

胡麻は灰が付着して溶けたものですが、

この糸胡麻は稲わらの灰が溶けたものではありません。

 

稲わらは緋襷を取る時や焼成時のくっつきを防止する時に使用しますが、

くっつきを防止するために使われるほどなので

稲わらは灰になっても溶けて胡麻になることはないんですね。

 

では、糸胡麻の素になる灰は何なのか。

 

糸胡麻の素になる灰は、燃料の灰が稲わらに沿って付着し溶けて胡麻になったものです。

 

稲わらの部分に灰が積もり溶けて胡麻になるからか、

また稲わらが灰を呼び込んで吸収し溶けて胡麻になるのかはわかりませんが

稲わらのあった所をなぞる様に灰が付着し溶けることで糸胡麻になります。

 

緋襷と同様に稲わらを掛けることにより狙ってできる景色ですが、

最終的にどのような景色の糸胡麻になるかは焼成してみないとわかりません。

 

 

最後に、

なぜ糸胡麻の景色があまり見られないか?

ですが。

 

稲わらを作品へ施す場面で考えると、一番は緋襷の景色を狙うとき。

 

緋襷は緋色のラインを作品に施す技法ですが、

さやに入れて焼成するため作品には灰が付着しません。

 

作品を稲わらで巻いた状態のものを、

さやに入れず程よく灰が被る場所に窯詰めすることが糸胡麻の取れる条件となります。

 

現在の備前焼ではこのような条件で窯詰めすることが少ないので

糸胡麻があまり見られないんですね。

 

 

現代備前ではレア景色となった糸胡麻。

 

機会があれば、ぜひご覧くださいませ。

 

 

 

 

 

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